困った時のノーベル賞だのみ:安倍政権がスティグリッツをつまみ食い

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安倍政権が「国際金融経済分析会合」なるものを立ち上げ、それにノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ博士を呼んで意見を聞いた。この会合は、表向きは伊勢志摩サミットの準備のためのもので、今後の世界経済の動向を占うという意義を持たされているが、実は消費税増税の再延期のための布石ではないかとの見方がなされている。国内の議論だけではなく、国際的な議論をしたというお墨付きを得て、消費税増税再延期を理屈付けしようとしているのではないか、というわけである。とすれば安倍政権は、困ったときの神頼みではないが、ノーベル賞経済学者のブランドを利用して自分たちの思惑に箔をつけようとしていることになる。

その思惑に応えるように、スティグリッツ博士は消費税の増税は、今の日本や世界の経済情勢では行うべきではないと主張した。これはスティグリッツ博士の日頃の言動からすれば当然予想された発言で、意外でも何でもない。それを安倍政権としてはわかったうえであえて発言させたわけで、そうさせたことの背景には、何か思惑が隠されているのだろうと勘繰られるのも無理はないというものだ。

この発言を大方の日本のメディアは大きく取り上げて、消費税増税の先送りの可能性が高まったなどと騒いでいる。そう騒ぐことで安倍政権が面子を潰すことなく先送りを決定できるように後押ししているふうに見える。

ところでスティグリッツ博士はこの会合の席でTPPにも触れ、TPPは行うべきではないと発言しているが、なぜかこの発言はメディアによっても殆ど無視されている。これを報道したのは日本農業新聞くらいなものだ。大手メディアは安倍政権の顏色を伺う余りに、安倍政権にとって不都合な報道は控えようと決め込んでいるようである。

この会合には、スティグリッツ博士と意見の近いクルーグマン教授も招かれることになっているそうだ。クルーグマン教授もスティグリッツ博士と同趣旨の発言をすると予想される。消費税は見送るべきだ、TPPはやめるべきだ、と言うだろう。そこでも再び日本のメディアは、消費税増税見送りの部分だけを声高に報道し、TPPについては沈黙するだろう。





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