浄瑠璃寺:日本の寺院庭園

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浄瑠璃寺は、11世紀のなかば永承2年(1047年)に創建されたと寺の記録にある。創建当時は薬師如来を本尊としていた。浄瑠璃寺の名称は、薬師如来のいるとされる東方浄瑠璃世界に由来している。その後、12世紀の初め嘉承2年(1107年)に、現存する本堂が建設され、その中に阿弥陀九体仏が安置されたらしい。池の掘削は久安6年(1150年)に行われたようだ。その頃に、阿弥陀堂と池が一体となって、浄土式庭園が成立したと推測される。浄土式庭園としては、宇治の平等院と並んで、もっとも古い由来をもつものである。

池を挟んで、西側に阿弥陀堂がたち、その中に九体の阿弥陀仏が東を向いて並び座している。池の東側には、阿弥陀堂と対するかのように三重の塔が立ち、その内部には薬師如来像が安置されている。この如来像は、創建にさいして作られた可能性がある。

上の写真は、池を前にして立つ阿弥陀堂。阿弥陀堂の前面は雨戸形式になっているので、外部から九体の阿弥陀仏がよく見えるようになっている。ただし、中央の大きな阿弥陀仏だけは、頭の部分が庇に隠れて見えない。しかし、池の水面には頭も映るので、人々は池の水を介して中央の阿弥陀仏を拝むことが出来る。

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この写真は、池を隔てて阿弥陀堂に対面している三重の塔。内部には薬師如来像が安置されている。

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池の真ん中には島がある。筆者が訪れた平成27年の初春には、浚渫改修の最中であった。





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