預言者ヨナ:ミケランジェロ「システィナ礼拝堂天井画」

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システィナ礼拝堂天井画のなかで、「最後の審判」の上部に描かれているのが「預言者ヨナ」である。預言者ヨナは、異教徒たるニネヴェの民への改心の進めや、それに続くニネヴェの陥落とアッシリアの滅亡を予言した人として知られるが、それ以上に、巨大な魚の腹の中に飲み込まれた話が、「ヨナ書」を通じて、ことのほか有名である。

ヨナは神から、アッシリアの首都ニネヴェに行って、人々を改心させるように命じられたが、ヨナはそれをいやがり、スペイン行きの船に乗って逃げた。ところがその船が、途中で嵐にあい沈没しそうになったので、ヨナはそれを神の罰だと思って、同乗していた船員たちに告白した。怒った船員がヨナを海中に放り投げたところ、嵐はぴたりとやんだ。

一方海中に沈んだヨナは、大きな魚に飲み込まれ、三日三晩魚の腹中にいたが、ようやく陸地に吐き出されて九死に一生を得た。その後ヨナは、神に命じられたとおりニネヴェに行き、人々に改心を勧めるのである。

ミケランジェロの描いたヨナは、他の預言者とは違って粗末な服装で、脇には大きな魚がいる。おそらくこの魚から吐き出されたばかりなのだろう。

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ヨナ書には、この魚がどんな魚だったが明らかには記していないが、鯨だとする説が有力である。しかしミケランジェロの描いた魚は鯨のようには見えない。マグロのようでもあるし、スズキのお化けのようにも見える。







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