カリフォルニアで医師による自殺ほう助が合法化

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米国のカリフォルニア州で、医師による自殺ほう助を合法化する条例が成立した。今年の6月9日から施行される。

合法的自殺ほう助に必要な条件は以下のようなものだ。二人以上の医師によって患者の余命が6か月以内であると判断されたこと、自殺についての患者の強い意思が確認され、しかもそれが患者の明晰な精神状態のもとでなされていること、である。

この条例が施行されると、合法的な自殺ほう助を通じて死ぬ人の数が爆発的に増えるのではないかと懸念されている。同じような趣旨の制度を1997年から施行しているオレゴン州のケースを見ると、これまでにこの制度を利用して死んだ人の数は1000人以内にとどまり、そのうち最初の一年間で死んだ人の数は450人ほどだったという。カリフォルニア州の人口はオレゴン州のそれのほぼ10倍だが、州民の考え方の相違などを考慮すると、単純な比較はできない。

日本では、医師による自殺ほう助は合法化されていないし、場合によっては殺人罪に問われる可能性が高い。周防正行監督の映画「終の信託」は、自殺ほう助をして殺人罪に問われた医師をテーマにしていたが、そこでは医師の行為が患者の尊厳死あるいは安楽死をほう助したものなのか、あるいは殺人なのかが問題となった。その際に、尊厳死あるいは安楽死と認められる条件がいつくかあげられた。以下のような四つの条件である。

1.患者が耐えがたい激しい肉体的苦痛に苦しんでいること
2.患者は死が避けられず、その死期が迫っていること
3.患者の肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くしほかに代替手段がないこと
4.生命の短縮を承諾する患者の明示の意思表示があること

これはいわゆる「川崎病院事件」についての最高裁判断のなかで示されたものだ。今回のカリフォルニア州の基準で言えば、2と4の二つが考慮に入れられているということになる。1や3はとりあえず必要な条件とはなっていないわけだ。





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