
閉経とそれに続く更年期を持つのは人間とシャチのメスだけだそうだ。というより、人間のメスの他に更年期を持つ動物がいることが、近年初めて明らかになった、ということらしい。人間以外のその動物と言うのがシャチだというわけだ。
自然界では、動物のメスの命は生殖の期間とほぼ重なっている。その時期の終りは生命の終りを意味している。ところがシャチの場合には、閉経を過ぎてからも長い間生き続ける。普通のケースでは。メスは40歳くらいで閉経した後、100歳くらいまで生き続けるそうだ。一方オスのほうは、40歳くらいで死亡する。
メスには、生殖年齢後も重要な役割が待っている。群のリーダーとして、狩を指導することだ。シャチは群を作って社会的な生活を営むことが知られているが、その群のリーダーは、必ず閉経したメスが率いる。彼女は、その群全体にとっては、共通するおばあちゃんなのだ。
シャチの社会は典型的な母系社会で、母親からその娘へと主導権が引き継がれる。一方、オスのほうは、生涯母親の群で過ごし、結婚は隣接する群のメスとするが、生活は母親の群で続ける。そして母親が死ぬと自分も死ぬのが普通である。
おばあちゃんシャチは、100歳くらいまで群を率いて狩を続け、彼女が死んだあとはその娘のシャチが集団を引き継ぐ。その頃になれば、兄弟のオスたちは死に絶えているし、複数いる姉妹たちは、それぞれ自分の直系の子孫と新たな群を作るということらしい。(写真はシャチの群 Smithsonian)
(参考)For orcas, menopause is just the beginning By Faye Flam : Bloomberg
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