竹渓訪隠図:蕪村の世界

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「竹渓訪隠図」は、題名からも明らかなとおり、山中に隠居する高士を人が訪ねるというモチーフを描いている。画面は霞の介在によって上下に分割され、下界には竹林と渓流とが、上界には峰々が聳え立っている。峰の描き方は、手前を明瞭に、遠くを青くぼかすことで、遠近感を演出している。

渓流に沿った道を一人の男が歩いていくが、彼の背負っているのは書物だと思われる。書物を土産にして、高士を訪問するというのが、南宋画の代表的な構図だ。

右上に「謝寅写於雪堂」の署名がある。(117.5×40.5cm 絹本彩色)

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これは山荘の部分を拡大したもの。笹や樹木の葉の描き方に蕪村らしい特徴が窺われる。まず葉の繁りの塊をおおまかに彩色した上に、葉の一枚一枚を丁寧に描き加えるというやり方だ。






コメント(2)

壺斎様
 バランスがなんとなく取れていない不思議な感じの絵だ。蕪村の絵は考えさせられる。訪れる人の行き先の家が絵の中心になっていて明るい光があたっている。竹溪であるから、竹林を描きたかったのか、隠者の住む家は粗末な家(庵)なのだと・・・・
 遠くの山並の青が効いている。とにかくよくわからないのが本音だ。
 2016/7/12 服部

壺斎様
 気になってまたコメントを送ります。竹林の隠者といえば西晋の時代の竹林の七賢人のことだろうか。三国志の曹操、諸葛孔明亡き後司馬氏が魏に禅譲を迫り、晋の国とした。司馬炎亡き後暗愚の皇帝がでるにおよんで世は乱れ、有徳の士たちは官吏の職を離れ、京を離れ山や村里に隠れ棲んだ。当時は老荘思想が主で、無為自然を尊んだのか、ただ清談に明け暮れているうちに、国が傾き、滅びていった。
 蕪村は隠者に憧れたのだろうか、なにかバランスを欠く絵は国が傾くことを暗示せしめているのか、いや考えすぎだ。
2016/7/13 服部

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