引き続き、蛇に襲われたブオーゾが、変身させられる。なお、三人目の亡者はプッチョだと分かったが、彼は他の二人のように変身させられることはなかった。
立ちたる者顏を後額のあたりによすれば、より來れる材多くして耳、平なる頬の上に出で
後方に流れずとゞまれるものはその餘をもて顏に鼻を造り、またほどよく唇を厚くせり
伏したる者は顏を前方に逐ひ、角を收むる蝸牛の如く耳を頭にひきいれぬ
またさきに一にて物言ふをえし舌は裂け、わかれし舌は一となり、烟こゝに止みたり
獸となれる魂はその聲あやしく溪に沿ひてにげゆき、殘れる者は物言ひつゝその後方に唾はけり
かくて彼新しき背を之にむけ、侶に曰ひけるは、願はくはブオソのわがなせしごとく匍匐ひてこの路を走らんことを
我は斯く第七の石屑の變り入替るさまをみたりき、わが筆少しく亂るゝあらば、請ふ人事の奇なるをおもへ
またわが目には迷ひありわが心には惑ひありしも、かの二者我にかくれて逃ぐるをえざれば
我はひとりのプッチオ・シヤンカートなるをさだかに知りき、さきに來れるみたりの伴侶の中にて變らざりしはこの者のみ
またひとりは、ガヴィルレよ、いまも汝を悼ましむ((地獄篇第二十五曲から 山川丙三郎訳)
絵は、ブオーゾが化け物の姿から人間の姿にもどるところを描いている。
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