トカゲ脳のバッシャーたち

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SNSの普及にともない目立ってきた現象として、いわゆるバッシングの蔓延がある。バッシンは様々な対象に向けられ、それらはだいたい異様な感じを与えるのが多いが、なかでも異様なのは、ボランティア活動に向けられたものだ。特に芸能人などが、大震災の犠牲者となった人々にボランティアの手を差し伸べると、それを売名行為だなどと貶めてバッシングするケースが目立つが、これなどは、異様さを通り越して背筋の寒くなるような不気味さを感じさせる。

先日の朝日でも、俳優の藤原紀香さんや杉良太郎さんが、自分たちが純粋な好意でやっているボランティア活動を巡ってバッシングを受けたときの苦痛について語っていた。藤原さんは東北大震災の犠牲者に同情の手を差し伸べたところ、それを売名行為だと罵られ、それにショックを受けて犠牲者たちをブログで励ますことができなくなったという。一方杉さんの場合には、熊本の大地震の被災者への炊き出しを売名行為だといって罵られたが、杉さんはそれにへこたれることなく、買名でどこが悪い、と開き直ってボランティア行為を続けたそうだ。

藤原さんは気の毒だというほかはないが、杉さんの対応は正解だと思う。こんなバッシングを受けても、それをまともに相手にするのは馬鹿げていると思うからだ。だいたいこういうバッシングをする連中(バッシャー)というのは、弱い者はいじめるためにあるもので、同情などもってのほかだと思っている徒輩だ。この連中にとっては、そんな弱い者に同情する奴は、偽善者か馬鹿かどっちかだということになる。そんなふうに思っている連中と、人間の善意について論争しても仕方がない。

こういう連中は、至極単純な脳を持っているのだと思う。事柄をありのままに受け取ることができないで、自分にとって都合がよいか、都合がよくないか、それだけの基準に基づいて反応する。判断ではなく反応と言うのは、彼らの脳が、対象について条件反射的な反応しかできないからだ。こういう脳を最近の英語では「トカゲ脳(reptilian brain)」というそうだ。reptilian brain は、もともとは人間の脳を構成する最も基層の部分をさす言葉であって、人間誰しも備わっているものだが、脳の他の部分(哺乳類脳という)がほとんど機能せずに、もっぱらこの部分だけが機能しているような人間をさして「トケゲ脳」の持ち主というようになったらしい。

この脳の持ち主は、理性的な反応がほとんどできない、言ってみれば馬鹿なのであるが、ただ自分にとって敵か味方かだけはするどく察知する。だから、味方とわかったものは仲間と認識して、互いに仲間内で盛り上がる一方、敵との間にはバカの壁(養老孟司の言葉)を張り巡らせてコミュニケーションを遮断する。それ故こういう連中とは、仲間になれない限り、いかなるコミュニケーションも成立しない。杉さんのように無視するしかないわけである。






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壺斎様
 善意のボランティアを行っている人々にバッシュングを浴びせるなどという行為は言語道断、許しがたいことです。被災者の立場の人のことを考えれば、とてもそのようなことはできないはず。
 バッシャーをする人のはトカゲ脳の持ち主なのですか。進化論が通用しなくなり、歴史は逆の方向へ向かいだしたといことだろうか。
 トカゲ脳を普通の人間の哺乳類の脳に変えることは難しいのでしょうか、バカにつける薬はないという如く
 2016/7/31 服部

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