福島凍土壁計画破綻への東電側の言い訳

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福島の汚染水対策として今年の春から実施されている凍土壁が、所期の目的を達成できていないことが、原子力規制委員会の発表から明らかになった。この計画は、原発の上流側に820メートルにわたる凍土壁を作ることで、原発地下への地下水の流入を阻止し、汚染水が海に垂れ流しにならないようにとの目的で作られたものだが、いまのところ、機能している凍土壁は99パーセントで、残りの部分は凍っておらず、原発地下への地下水の流入が続いているという。恐ろしいのは、この流入量が、凍土壁設置以前とほとんど変わっていないということだ。つまり、99パーセントは所期の思惑通り凍ったものの、全体としては、地下水の流入はほとんど阻止できていないということだ。

これに対して東電の技術部門の関係者が奇妙な理屈で言い訳をしている。この関係者によれば、凍土壁は汚染水の海への流出を阻止することが目的ではなく、汚染水の増加を抑えるのが目的だ。ところが、今回の原始力規制委員会の発表は、汚染水が増えているような誤解を与えかねない。これは事実と反しているので、人々には惑わされないで欲しい、という。

原始力委員会の発表によれば、原発地下への地下水の流入量は、凍土壁設置以前と比べてほとんど減っていない。ということは、地下水は相変わらず以前と同じ規模で原発の地下を通過し、汚染された状態で海に流れているということだ。これは誰が見ても、この計画が機能していないということを意味する。そういう単純な事実を前にしてこの関係者は、あまり心配しないで欲しいと訴えている。挙句は、「福島第一原発は事故処理から廃炉への道を進んでいる、すなわち放射性廃棄物処理を行っているという視点を持つことで、ニュースを正しく理解できることと思います。 そして放射性廃棄物の処理状況はどうなっているんだという視点の先には、後世にどのような形で放射性廃棄物の処理を委ねていくのかと考えが生まれていくことと思います」などとわけのわからぬことを言っている。

先行する原発事故が物語っているように、巨大原発事故が起きた場合には、まずは事故処理を徹底して行うのが先だ。その後で、廃炉の作業に入る。ところが、事故処理がまったく見込みのついていない段階で、廃炉処理を急ぐと言うのは、事故対策を曖昧にするものだと言わねばならない。この関係者の場合には、事故処理のツケを将来世代にも負担させようとしている。東電の関係者だから、ある程度東電の肩を持つのは仕方ないが、これではあまりにも破廉恥というべきだ。

(この関係者の主張は「『福島第一原発』凍土壁失敗は何を生む 誤解の先にある次世代への責任」Yahoo ニュース)





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