龍山勝会図屏風:池大雅の世界

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「龍山勝会図屏風」は「蘭亭修禊図屏風」とともに六曲一双をなす作品である。宝暦十三年(1763)大雅馬歯四十一の年の作であり、所謂大雅様式の完成を告げる記念碑的な作品とされる。

「龍山勝会図屏風」は、晋書孟嘉伝の記事をイメージ化したもの。文人として名高かった孟嘉が桓温の参謀をしていたとき、桓温が龍山に宴を張った。その時風が吹いて孟嘉の帽子を吹き飛ばしたが、孟嘉はそれに気づかぬまま厠に行った。その間に桓温は孫盛に命じて孟嘉を嘲笑する文を作らせ、孟嘉が厠から帰ってくるとその文を読ませた。ところが孟嘉は一向にたじろがず、その文よりも遥かに格調高い分を作って対抗したので、一座のものはみな大いに感心した、という内容である。

絵は、左手に龍山の山中の様子を大きく描き、右手に遠くの市街地を細密に描く。手前の龍山と遠くの市街地との対比が、ドラスティックな遠近感を催し、独特の空間感覚をかもし出している。こうした奥行きのある空間表現は、大雅様式最大の特徴である。(157.0×359.5cm 紙本淡彩)

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これは龍山の山中の部分を拡大したもの。宴会の様子が詳細に描かれている。背中を見せている無謀の者が孟嘉。ほかの者はみな孟嘉を見てあざ笑っている。






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