岳陽楼図屏風:池大雅の世界

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「岳陽楼図屏風」は「酔翁亭図屏風」とともに「楼閣山水図屏風」として六曲一双をなすものである。金箔地の屏風面に岩絵の具による濃彩を施しており、非常に豪華な感じがするのは、宗達や光琳に影響されたのだろうと考えられる。

岳陽楼は湖南省岳陽県城の西門の楼閣で、洞庭湖に面して絶景の眺めを誇っていた。杜甫も「登岳陽樓」と題した五言律詩のなかで「昔聞洞庭水 今上岳陽樓」と歌っていた。

絵では、右側に岳陽楼を配し、その左側に洞庭湖を描いている。岳陽楼に人々が上って眼前に広がる光景を眺め、一方、湖には人々が舟に浮かんで行楽する光景が描かれている。遠方には遥かな山が緩やかな稜線を見せ、手前に展開する光景との間で遠近感をかもし出している。(167.5×373.5cm 六曲一双 紙本金箔地彩色)

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これは岳陽楼の部分を拡大したもの。楼閣の基礎は城壁となっており、その外側には樹木の生い茂った道が通っている。その道を歩く人々は、彼らなりに城外の散策を楽しんでいるようである。







コメント(1)

壺斎様
 優雅にして雄大な絵となっている、名前の通りである。
 舟が何艘かみえる。うねっている波が描かれているのだろうか、私には違和感を覚えるのだが・・・・
 池大雅には何らかの意図があってのことか。
 散策を楽しむ人々、舟にて洞庭湖を楽しむ人々、岳陽楼からこの眺望を楽しむ人々を描き分けているようだ。
 池大雅は、書画や漢詩、漢籍から相当中国に憧れていたように、この絵から伺える。
 2016/8/31 服部

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