もんじゅ廃炉の意義

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安倍政権が、高速増殖原型炉もんじゅの廃炉に向けて動きだしたようだ。もんじゅは1994年の初臨界以来一度もまともに機能したことがなく、今後も機能する見込みがない。原子力規制委員会が、運転の条件としている責任体制の整備についても見通しが立っていない。そんななかでこれ以上もんじゅを存続させることは、国民の理解が得られないと判断したようだ。

もんじゅはプルトニウム燃料リサイクルの切り札とされてきたものだ。プルトニウム燃料のリサイクルとしては、MOX燃料を使ったプルサーマル発電もあるが、こちらはプルトニウム燃料を完全リサイクルできるわけではない。だからもんじゅを廃炉してそれにかわるものを用意しなければ、日本のプルトニウム保存量は増え続ける一方だ。

プルトニウム燃料は原子爆弾の材料となるために、このまま保存量を増やし続けると、日本は核保有の野心を持っているのではないかと国際社会から疑いの目を向けられることとなる。それはつらいというので、安倍政権としては、もんじゅを廃炉にしても、それに代わるようなプルトニウム活用プロジェクトを用意したいと考えているようだ。だが、いまのところ、技術的な壁が高すぎて、実用化できるようなプロジェクトはない。おそらく今後も簡単には生まれないだろう。

アメリカ始め原発先進国では、プルトニウムの再利用はあきらめて、地下空間などに永久に封じ込める政策をとっている。いわゆる核廃棄物の便所を用意しているわけだ。日本ではいまのところ便所を作ってそこに核廃棄物を封じ込めるやり方は考えておらず、遠くない将来プルトニウムの再利用が実現することをあてにしてプルトニウムの保存をしている。その量はいまや48トンにも達し、日本国内では対応しきれないので、フランスなどに依頼して保存してもらっているほどだ。

日本がプルトニウムのリサイクルをなかなかあきらめきれないのは、やはり将来の核武装が念頭にあるからではないか、こうした疑念は近隣諸国だけではなく、アメリカなどの同盟国にもあるようだ。先日はアメリカのバイデン副大統領が、日本の核保有能力を逆手にとって中国をけん制したくらいだ。

今の日本のプルトニウム保存量は、長崎型原発6,000発分に相当するそうだ。





コメント(1)

壺斎様
 高速増殖原型炉もんじゅの廃炉は原発をやめるというシグナルなのかと思ったのだが、どうもそのような考えではなさそうだ。
 北朝鮮をはじめ核の脅威が一段と高まった現状での決断は意味があるのか、単にトラブルが多い、費用がかかりすぎる、運転管理する能力はない、あるいは超えているということなのか。
 これを機会に原発をはじめ核に関し議論を行なわなければいけない、日本の将来の大問題だから。
 2016/9/22 服部

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