子どものおもちゃにアメリカを与える:トランプの親心

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米大統領に選ばれたトランプが、早速政権発足に向けた準備に取り掛かった。なにせ米政界とは無縁なことを売り物にしてきたこともあって、側近を始め重要スタッフには、個人的に信頼している人間を重点的に採用すると公言している。その中には、自分の息子や娘も含まれていて、彼らを重要な公職につけるようである。

政治経験が全くないといってよいトランプの子どもたちだから、父親以上に経験がないわけだ。そんな子どもたちに国の重要な仕事をまかせようというのは、親心の現れか。若いうちから経験をつませ、人脈作りをさせることで、父親が死んでも立派に生きて行けるようにしてやりたいという気持ちが伝わって来る。涙ぐましい限りだ。

はて、と思ったのは、娘の夫がユダヤ系の実業家だということだ。ジャレド・クシュナーといって、トランプ同様、不動産で成功した人物だ。親の事業を引き継いで、それを大きくしたことも共通している。トランプはこの娘婿を、大統領補佐官などの最重要ポストにつけるだろうと噂されている。

このクシュナーは、イスラエルのネタニアフ政権ともパイプがあり、トランプをネタニアフに引き合わせていた。ネタニアフとしては、先物買いをしたつもりだろうが、勝った商品が高い価値を持ったということで、ほくそえんでいるだろう。

しかし、トランピズムと称される動きは、Alt-Rightと言われる極右的な考え方に重心を置いており、反ユダヤ的な人種差別の傾向が強いはずだ。トランプがあまりユダヤ人を贔屓にすると、右のほうから反発が出ることも十分予想される。逆に言えば、トランプが身内にユダヤ系を抱えていることが、彼を反ユダヤ的な人種差別主義と排外主義から距離を置かせる保険になるという考えも成り立つ。

トランプは、家族以外には誰も信用しないと言っているそうだ。そのあまりに家族に甘くすることは、公私混同だとの批判をもたらしかねない。なにしろ、アメリカ人の公私混同嫌いは、ヒラリーを最後まで苦しめたものだから。それ故トランプも、子どもたちのおもちゃとしてアメリカを与えた、と言われるようになると、かなり厳しい批判に直面することになろう。





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