妾の浮気:安倍晋三、ウラジーミル・プーチンに色目を使う

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安倍・プーチン会談を踏まえて、昨日(12月16日)共同記者会見が開かれた。その会見のなかで安倍晋三総理大臣がウラジーミル・プーチン大統領に向かって、しきりに「きみ」と呼びかけていたが、それに違和感を持ったのは筆者のみではあるまい。

「きみ」という言葉はもともと、女が男に呼びかける時に使った「女房言葉」だ。それがどういうわけか、明治維新以降男も使うようになった。お互いの親密さを強調したい時に使われてきたという経緯があるから、安倍晋三もこの言葉でプーチンとの間の親密さを強調したかったのかもしれない。

ところが「きみ」と呼びかけられたプーチンのほうは、安倍晋三を「総理大臣閣下」と敬称して、俺たちはそんなに親密ではないんだ、と意思表示をしたように見えた。

安倍晋三が何を言いたかったのか、あまりよく伝わってこないのに対して、プーチンのほうは率直だった。プーチンは日米の親密さを強調して、日米関係がロシアの脅威になっている限り北方四島の返還はありえない、という趣旨のことを話した。プーチンが言いたかったのは、日本はアメリカの妾のようなものだから、その妾から色目を使われて、浮気の相手をするわけにはいかない、俺とねんごろになりたかったら、前の旦那との関係を整理しろ、と言うわけだろう。

そういうプーチンの率直な言い方に対して、安倍晋三の言うことは判らないことだらけだ。いったいこの会談そのものが、北方領土の返還を具体化するために開かれたわけで、事実安倍政権はつい最近まで、北方領土がすぐにでも返って来るかのような幻想を振りまいてきた。それが直近になって、プーチン側の姿勢が強硬になり、領土問題での譲歩を引き出せないとわかってからは、ほとんどパニックに近い状態に陥ったようで、昨日の共同会見でのうろたえぶりも、その表れなのだと思う。

にもかかわらず、安倍晋三本人は自分の失策を認めようとしない。領土問題での妥協が今回いっさいなかったにもかかわらず、というより限りなく不透明になったにもかかわらず、まだまだ解決の望みがあるというような言い方をしている。これがどんなに事実に裏付けられていない希望的観測かは、子どもの頭でもわかろうというものだ。

もっとも不可解なのは、安倍晋三が、この問題では日露両国の主権を尊重しながら進めるべきだと発言したことだ。これは、北方領土に対するロシア側の主権を認めたということではないのか。そうだとすれば安倍晋三は、北方領土問題についての日本政府の従来の主張をひっくり返したということになる。果してこれを日本国民は許せるだろうか。

こんな単純な事柄を日本のメディアは、複雑に按配してしどろもどろな「解説」を加える一方、安倍晋三の言い分を垂れ流しにしているだけだ。その中で「正論」を吐いているのはサンケイくらいだろう。サンケイは、日本の北方領土をロシアが不法占拠しているのだから、その不法行為をやめさせるのは当然のことだと言っている。身内のサンケイでさえそう言うのであるから、安倍晋三は自分の言動にもっと注意するべきだろう。






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