もんじゅ廃炉後も高速増殖炉開発は継続:安倍政権の支離滅裂な思考

| コメント(0)
安倍政権が高速増殖炉の原型炉である「もんじゅ」の廃炉を決定した一方で、高速増殖炉の開発そのものは今後とも継続すると表明した。「もんじゅ」を廃炉したあとは、高速増殖炉計画のより高次の段階である実証炉の開発にとりかかるというのだが、専門家ならずとも、これが支離滅裂な考えであることは容易に見分けられる。

高速増殖炉の開発計画は、いくつかの段階に区分けできる。実験炉、原型炉、実証炉、実用炉という具合に、実験から始まり実用化にいたる四つの段階がそれだ。「もんじゅ」はこのうちの、第二の段階である原型炉という位置づけだ。科学的な常識では、原型炉が予期通りの成果をあげて始めて次の段階である実証炉に進めるということになっている。ところが安倍政権は、「もんじゅ」が事実上破綻しているにもかかわらず、その次の、より高度な段階である実証炉の開発に進もうとしている。これは、専門家ならずとも、無謀でリスクの大きいやり方だとわかる。

どれほどの成果が上がれば、「もんじゅ」の原型炉としての役割が果されたか、については色々な見方があってよい。だが実情を見ると、「もんじゅ」はほとんど成果を上げていないといってよい。安倍政権もそのことを認めている。「もんじゅ」の開発計画失敗の責任をとって、文科省の幹部が給与を自主返還したことにも、それはあらわれている。

つまり、「もんじゅ」は計画の目論見を達成できずに破綻したということを政権自らが認めているわけだ。普通の人間の考え方からは、「もんじゅ」が失敗したならば、もう一度原型炉の計画を見直すか、そもそも高速増殖炉の計画を撤廃するか、どちらかを選択するということになろう。ところが安倍政権は、原型炉の計画が失敗したことには眼をつぶるかのように、それよりも一ランク上の段階である実証炉の開発に進みたいといっているわけだ。

どういう発想からこういう意見が出て来るのか、常識を重んじる筆者などには到底理解できない。安倍政権が筆者のようなお人よしを馬鹿にしているのか、あるいは安倍政権そのものが馬鹿なのか、利口な中学生に聞いてみたいものだ。





コメントする

アーカイブ