砂浜のタヒチの女たち:ゴーギャン、タヒチの夢

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「砂浜のタヒチの女たち」と呼ばれるこの絵には、マオリ語の題名はついていない。右下にゴーギャンの署名と91年の年期が記されているだけである。

砂浜の上で寛ぐ二人のタヒチ女性を描いている。この砂浜は、ゴーギャンの住む小屋があるマタイエアの海岸の浜と思われる。この海岸はサンゴ礁が洲を作り、美しい景色なのだが、ゴーギャンは景色にはかまわず、女性たちの表情に注意を集中している。

二人の女性のうちひとりは、全身を覆う服を着ており、もう一人も肌を露出していない。表情にはどこと無くぎこちなさを感じられるが、それは女性たちが緊張してポーズをとっているからだろうか。

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これは、右手の女性の部分を拡大したもの。西洋風の服装をする一方、髪にはタヒチ風の飾りをつけている。両手を組み合わせているが、これにはどんな意味があるのか。(カンヴァスに油彩 69×91.5cm パリ オルセー美術館)






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女は画家を見ているのだろうか、猜疑心に満ちた眼差し。 もう一人の女は、画家に無関心でまどろんでいる。
 画家ゴーギャンはここでも受け入れらていない異邦人なのだ。光の輪を頭の上に載せようとも、キリスト風に振舞っても、野蛮人、野生の人たちには受け入れらない異邦人なのだ。文明の世界に生きられないゴーギャンはここでも生きられないのだろうか。
 「人はどこから来てどこへ向かうのだろうか」
 海の向こうからやってきたその海も暗く、文明から遮断されたゴーギャンはただ絵筆を走らせるだけだ。
 2017/2/11 服部

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