あひるの新年会

| コメント(0)
あひるの仲間と遅ればせの新年会を催した。場所は例年のとおり新宿西口の三代目網元。参加したのは、ミーさんあひる、オーさんあひる、静ちゃんあひる、少尉あひる、アンちゃんあひる、横ちゃんあひる、それに絵描きあひること小生のあわせて七羽であった。今ちゃんあひるは今年も出られなかった。横ちゃんあひるが残念がって、今年は今ちゃんあひるの卒業する年だから、記念に卒業旅行を計画したいと思って、今日会ったら是非何処に行きたいか聞いてみたかった、というので、後日別途聞いて見なさいとすすめた次第だった。

今年は地元の区長さんから喜寿のお祝いをいただきました、そうミーさんあひるが言うので、喜寿のお祝いとはおめでたい、それにしては年を感じさせず、お元気な様子が何よりです、と小生が言ったところ、わたしは喜寿のお祝いはもらえませんでしたが、そのかわりこんな元気な体を親から貰ったことをいまさらながら感謝します、とオーさんあひるが言った。オーさんあひるは還暦を過ぎて以来風邪一つ引いたことがないのだそうだ。

あたくしは古希のお祝いというわけではないけれど、自分自身にスマホをプレゼントしましたのよ、と静ちゃんあひるが言う。小生などはいまだにガラケーなので、どうですガラケーと比べての使い心地は?と尋ねたところ、悪くはありませんけれど、とりわけてよいというわけでもありません、というのは電話とメールくらいしか使い道がないからです、スマホの画面でネットをするのは目が見えなくてつらいし、ゲームを喜ぶ年でもありませんからね、ということだった。そこで小生は、自分の場合は家人とメールでやり取りするくらいのものですから、ガラケーで十分なのです。今日も出掛けにメールがあって、風が強いから飛ばされないよう注意なさいと指摘されました、と言うと、それは仲のよいことですのね、と冷やかされたのであった。

少尉あひるさんの具合はどうですか、と皆が少尉アヒルに話を向けると、最近はヘルパーさんを頼んで、炊事や洗濯などの家事をお願いしています、と言う。するとアンちゃんあひるが興味を示して、そのヘルパーさんはどんな方ですか、どんなことをお願いしているのですか、と聞く。週二回ご婦人に来ていただき、その度におかずを余計目に作ってもらって冷凍し、それをちびちび持ち出しては解凍して食べているのです。お話し相手にはなってくれるのですか、とアンちゃんあひるが重ねて聞くと、無論なってくれますよ、おかげで退屈しのぎにもなります、との答え。すると自分もヘルパーさんをお願いして、お話し相手になってもらおうかな、とアンちゃんあひるが言うので、では是非高齢者事業団に相談してみなさい。リーズナブルな料金で、結構いいサービスを提供してくれますから、とアドバイスしてやったのだった。それにはアンちゃんあひるは憮然とした表情を見せたのでした(若いご婦人を望んでいるらしい)。

アンちゃんあひるがヘルパーさんに興味を持ったのは、自分自身が主夫の境遇で、毎日の家事に追われているかららしい。なにしろ、朝細君を職場に送り出した後は、掃除・洗濯から始まって、三度の食事の支度まで忙しい毎日が続くのだそうだ。夜細君が勤めから戻ってくると、玄関に出迎えてお帰りなさいと言い、すぐに食事にしますか、或はお風呂にしますか、それとも布団をひきますか、と尋ねるのだそうだ。だから毎日体が休まることがない、ヘルパーさんをお願いしたくなるのだそうだ。

ところで横ちゃんあひるは、もう何もしていないのかね、と小生が聞くと、昨年の四月以来、悠々自適の生活で、週二日はゴルフ場で過ごしているそうだ。一方古希を迎えた静ちゃんあひるは、まだ現役で頑張っていて、もしかしたら七十五歳くらいまで働くことになるかもしれないという。勤め先から是非そうしてほしいと頼まれているのだそうだ。まあ、人さまから頼りにされるうちが華だから、よほど辛くない限りは働いているほうがよいかもしれないね。

絵描きあひるさんもお元気そうで何よりです、と小生も皆から言われる。何か秘訣があるのですか、と言うので、先輩たちを前にこう言うのは生意気なようですが、やはり規則正しい暮らしをすることと、心をいつも大らかに持つことだと思います。今日も出掛けに、帽子をかぶって門を出たところ、通りがかった小さな女の子二人が小生の顔を見てクスクスと笑うので、何がそんなにおかしいのかい?と尋ねたところ、おじいちゃんのその帽子が可愛いわ、と言われました。小生が人畜無害なことが小さな子にもわかるのでしょう。それは心が大らかな徴だと思って自分ながら納得しました。

小生のことはともかく、今ちゃんあひるはどうしていますかね、先程の横ちゃんあひるの提案は是非実現したいものですね、そう言ったところが、今ちゃんあひるは今年の三月いっぱいで現役を引退するつもりなので、その後は時間がいくらでもあるそうです、だから旅行にも誘って欲しいようなことを言っていましたので、是非計画を進めて今ちゃんあひるにも声をかけましょう、ということになり、ではどこに旅行しましょうかと、いつもながらの談合が続いたのだった。その結果五月の連休明けあたりに、九州に行こうということになった。いつか皆で行った湯布院に、その時に怪我で行かれなかった静ちゃんあひるが是非行って見たいというので、もう一度行ってみようということになったのだった。城下カレイも是非もう一度食べてみたいしね。

こんなわけで今宵も和気藹々としたひとときを過ごすことが出来た。解散後は静ちゃんあひると一緒に総武線の電車に乗り、謡仲間の近況など聞かせてもらったのだった。






コメントする

アーカイブ