以前取り上げた花鳥図屏風より数年後、雪舟七十歳頃の作品と考えられる。山水画としての要素が後退し、花鳥を全面に押し出した、装飾性の強い画風になっており、そこに桃山時代の装飾画へのつながりをみる見方もある。
右隻は、山水的な要素はほとんどなく、二羽の鶴を中心にして全面に押し出し、それを竹の群がりや牡丹、蓮の葉などによって装飾するといった構図になっている。山水画を得意とした雪舟にしては、非常に変った図柄と言えよう。
鶴の描き方などには、ややぎごちないところも見られ、雪舟が鳥獣画をあまり得意としていないことが伝わってくる。
これは、右側の鶴の部分を拡大したもの。鶴は竹の背後にいるが、白抜きで描かれている為に、十分な存在感を示している。また、牡丹の花も白抜きで描かれており、これと椿の赤い花とが色彩の対照振りを演出している。(紙本着色 151.6×366.0cm 六曲一双)
・日本の美術
コメントする