朝鮮半島近海への艦隊派遣はトランプのフェイク・ニュースだった?

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金正恩の挑発的な態度に頭に来たトランプが、もし金正恩が核実験をしたら許さない、その場合にはアメリカは北朝鮮に対して先制攻撃も辞さない、と言って、空母カールビンソンを旗艦とする海上攻撃部隊を北朝鮮に向かわせた、と発言したことで、世界中が大騒ぎになった。ところが、カールビンソンは北朝鮮に向かっていたのではなく、シンガポールを出航した後インド洋に向かい、そこでのんびり油を売っていることがわかった。それでまた世界中が大騒ぎになっている。いったい、どうなってるんだ、と。

トランプの言うとおりに、カールビンソンが北朝鮮近海に向かっていたら、もうそろそろ目的地に到着するはずだった。その後、北朝鮮の出方次第では、カールビンソンは北朝鮮に先制攻撃を仕掛けるかもしれない、そんな予測が世界中を経巡った。日本の安倍政権などは、不足の事態で朝鮮半島が戦場になったりして、日本人の安全が脅威にさらされることを見越して、避難計画を立てようとしたほどだ。日本に比べて北朝鮮に近い韓国でも、大変な騒ぎになったはずだ。

ところが、カールビンソンは北朝鮮近海ではなく、インド洋にのんびり浮かんでいたというわけだ。このニュースは、世界中を唖然とさせた。いったい、どうなっているんだ、と。

トランプは、世界中に向かってウソをついたのだろうか。もしそうなら、どのような理由からそんなことをしたのか。アメリカのメディアからこのことについて質問されたスパイサー報道官は、例によってとぼけた調子で、カールビンソンがシンガポールを発ったことは事実だが、いつまで北朝鮮近海に向かうとは明言していない。だから、トランプはフェイク・ニュースを流したわけではないと言ったそうだが、これが強弁にすぎないことは明らかだ。

ところで、このことを、日本の安倍政権は知らされていたのだろうか。安倍政権は、上述したように、不足の事態に備えて韓国からの日本人避難計画を立てようとしたというくらいだから、誰もが、安倍政権はトランプの表向きの発言を信じていたと思うだろう。そこで、問題なのは、安倍政権がトランプからこのことを知らされていなかったとすれば、安倍政権はトランプにコケにされたということであるし、もし知らされていたのならば、トランプがアメリカ国民を騙したように、安倍政権は日本国民を騙したことになる。どちらに転んでも、安倍政権は日本国民に対して責任ある行動をとれなかったということになろう。

もっと問題なのは、北朝鮮が核実験に踏み切った場合に、トランプが自分の言った通りのことをできなかったということだ。そのことで金正恩が、トランプは言葉だけ威勢のよい張り子の虎だと、高をくくるようになるだろう。それ以上に、トランプが今後発言することを、世界中がまともに相手にしなくなるだろう。いままで気に入らないメディア相手に、フェイク・ニュースをまき散らしていると言っていた張本人が、世界中を相手にフェイク・ニュースをまき散らす。これはどう考えても、尋常なことではない。

それにしても今回、安倍総理はトランプの対応を全面的に支持すると言った。先制攻撃の結果、日本にどのような事態が発生するか、安倍総理がどれほど理解していたかわからぬが、朝鮮戦争をめぐって戦争状態が発生するようなことになっても、日本はトランプを支持すると言ったわけだ。つまり日本国民が犠牲になっても、トランプの大義のためには受け入れる、と言ったようなものだ。これはこれで、日本人としては簡単に受けいれられることではあるまい。






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