FBI長官解任の波紋

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トランプがFBIのトミー長官を解任したというので、ちょっとした波紋を巻き起こしているようだ。解任というと聞こえはいいが、要するに強引にクビにしたということだ。しかもその理由にいかがわしいものがある。トランプは、もっともらしい理屈を弄しているが、真の動機はFBIの操作妨害にあるとささやかれている。つまり、トランプのロシアスキャンダルを、FBIが追跡する動きを強めていることに対して、危機感を覚えたトランプが、長官の首をすげ替えることで、捜査の動きを骨抜きにしようと企んだ、というわけである。

アメリカは、いわゆるメリットシステムの国で、政権を握ったものが政府の役職を思うように采配するのであるが、そんななかで司法武門には一定の配慮がなされ、FBI長官のような公正さを要求される役職については、基本的には十年の在任期間が補償されてきた。だから、政権がその慣行を破って自分に都合のいい人事をすることについては、強いブレーキが働いてきた。これまでのアメリカの歴史のなかで、政権が捜査当局の責任者を解任しようとした例としては、ウォーターゲート事件の渦のなかにいたニクソンが、特別検察官を解任しようと働きかけたことがあるくらいだ。ニクソンはそのことで強い批判を浴び、ついに辞任に追い込まれた。

トランプのやっていることも、ニクソンと全くかわらない、というのがアメリカのメディアの大方の見立てだ。トランプもニクソン同様、自分への追及をかわそうとして、その追及者の首を切ったということだ。それゆえ、トランプにもニクソンと同じ運命が待っているかもしれない。そこまで推測するものもある。

もっとも今のところ、議会の上下両院とも共和党が多数を占めていて、たとえば弾劾が可決されるというようなことは、あまり考えられないようだ。しかし、トランプと議会多数派とはかならずしも一枚岩ではなく、場合によっては、議会の共和党の一部が反トランプの動きに走る可能性がないではない。そうなるかどうかは、トランプ次第だというのが大方の見方で、トランプが議会の共和党と仲良く出来なければ、いずれひどい目にあうことになるだろう、とささやかれているようだ。






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