浜辺の騎手:ゴーギャン、タヒチの夢

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これは、ヒヴォア島の海岸を疾走する騎手の一団を描いた作品。マルキーズ諸島やタヒチなどポリネシアの島々には、もともと馬はいなかった。ヨーロッパ人たちが船で島に持ち込んだのだ。持ち込まれた馬の一部は野生化して繁殖した。土地の原住民たちは、そうした野生の馬を飼いならして、このように乗馬を楽しむことを覚えたのだ。

六頭の馬が、波打ち際に沿って、ほぼ一列になって進む。何故か先頭の馬が急ブレーキをかけ、それにつられて後続の馬が跳ね上がるような仕草をしている。一番後ろの馬は、前の馬が全部走り出すのを待っているようである。それぞれの馬に表情があって面白い。

砂地がピンク色に塗られているのは、実際のヒヴォアの海岸の色なのだろうか。このピンクがあるために、水平線のブルーが引き立って見える。

なお、ゴーギャンはこの絵を、自分のただ一人の理解者だったドガの、競馬の絵を念頭に置きながら描いたとも言われる。

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これはギャロップする馬の部分を拡大したもの。先頭の騎手は、前作「浅瀬」のツパパウに似た騎手を思いださせる。(1892年 カンヴァスに油彩 73×92cm ギリシャ スタブロス・ニアルコス・コレクション)






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