達磨横顔図:白隠の禅画

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白隠は数多くの達磨像を描いたが、このように横顔を見せている構図のものはめずらしい。しかもこの絵は、一筆描きを思わせるような、簡略なタッチで描かれている。白隠の達磨像としては破格の描き方だ。多くの場合、白隠の達磨は正面を向いており、薄墨で輪郭線を描いた跡で、ポイントを黒く強調するというのが基本的な描き方だが、これはそれから大きく逸脱している。

達磨の表情は白隠の自画像と考えられるから、この絵の表情がかなりダイナミックな活力を感じさせることからすれば、七十歳以前の作ではないか(あくまで憶測だが)。ダイナミックといえば、この絵はかなり大きな紙に描かれているので、その分迫力を感じさせる。

賛には「どふ見ても」とある。どう見ても達磨にしか見えまい、という意味だろうか。

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これは横顔の部分を拡大したもの。ひげがこすれているように見えるのは、畳の上で描いたためか。或は、わざと筆を反乾きにさせて描いたのだろうか。

(紙本墨画 130.8×55.7cm 永青文庫蔵)






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