ロケットマンと「火遊びが好きなチンピラ」の笑えないチキンレース

| コメント(1)
昨夜(日本時間の9月21日)、トランプが初の国連演説のなかで金正恩を「ロケットマン」と揶揄したことに対して、ニューヨーク入りした北朝鮮の大使が反撃し、そのトランプを「吠える犬」だと罵倒した。この様子を取り上げたNHKの報道番組(ニュースウォッチ9)は、さっそく犬を抱いたトランプを画面に登場させて、「ワンワン」と鳴かせてみたものだ。これにはさすがの筆者も驚いた。NHKはちょっとやりすぎではないのかと。これでは安倍政権のこわい人たちから大目玉を食っても仕方がない。

その後北朝鮮側からは、ロケットマンこと金正恩がトランプを罵倒して「火遊びが好きなチンピラ」と切り返した。どうやらこの二人は、自制がきかないままに、泥沼のチキンレースを繰り返しているように見える。これでは、いつ何時やり取りが暴走して、米朝戦争が始まらないとも限らない。

日本人として気になるのは、時の宰相安倍晋三総理が、トランプの尻馬に乗って北朝鮮を罵倒していることだ。国連での演説を聞いていると、その罵倒ぶりは、宣戦布告を思わせるような過激なものだ。少なくとも安倍総理は、アメリカによる北朝鮮への軍事攻撃と、それにともなう米朝戦争の勃発を覚悟しているように聞こえる。もしそうなった場合、日本としてはアメリカに従って参戦するとの意気込みさえ感じられる。

安倍総理はなぜこんな冒険に打って出たのか。昨日のこのブログでも触れたが、安倍総理が北朝鮮による日本への反撃能力を甘く見積もっていることは考えられる。トランプはおそらく、北朝鮮の攻撃能力が制御不能なほどに高まる前に「完全破壊」したいと思っているのだろうが、安倍政権も同じように、いまのうちに北朝鮮をつぶしておきたいと考えているのかもしれない。

しかし、もしアメリカが北朝鮮に先制核攻撃でもしたら、中ロは黙っていない可能性が高い。中ロはいまのところ、トランプに付き合って対北朝鮮制裁に加わってはいるが、アメリカによる北朝鮮先制攻撃については、絶対に許さない姿勢でいる。中ロは最近軍事的な結びつきを深めており、日本海近辺での共同軍事演習を重ねている。その軍事演習は、北朝鮮を挑発しようとするアメリカへのけん制だと思われる。北朝鮮をめぐる情勢は、軍事的にもかなり緊迫しているのである。

そういう状況の中で、安倍政権がトランプに迎合して、その走狗のような役割に奔走していてよいのか。日本は、地政学的にみても、本来は米朝間の対立を鎮めるべき立場にある。それは日本の安全保障にとっても必要なことだ。ところが、安倍政権がいまやっていることと言えば、両国の対立をいたずらに煽り、あまつさえ自分自身が戦争の当事者になるつもりであるように見えてくる。

トランプは、北朝鮮との軍事対立を深める一方、イランとの関係においても、従来の核合意の破棄に言及するなど、対立を深めようとする姿勢を見せている。こういう光景を見せつけられると、今や世界最大の不安定要因はトランプのアメリカだと思わざるをえない。

安倍政権は、そのトランプにいつまで義理立てするつもりなのか。日本の安全保障という意味から、深く考えてほしいものだ。小生のような一介の老人としては、ロケットマンと「火遊びが好きなチンピラ」とのチキンレースが、本物の喧嘩に発展することが恐ろしい。このチキンレースをNHKは笑い飛ばしていたが、笑いごとではすまされまい。






コメント(1)

全く同意見です。米朝の戦争が勃発したら、日本は安保条約に従って参戦しなければならないのかどうか、国民にその賛否を問うのかどうか?安倍内閣が判断して決めることになるのか?
北朝鮮と中国の安全保障条約はどうなっているのだろうか?
 現在は冷静に事態を見守り、無用な挑発を避けるべきであろう。金正恩率いる北朝鮮という国家が存在することに対し、抹殺以外の対策を国際社会が真剣に模索すべきなのだが、もはや手遅れの感が漂いつつあるように見えるのだが・・・・・
 2017/9/23 服部

コメントする

最近のコメント

アーカイブ