浄楽寺阿弥陀三尊像:運慶と鎌倉彫刻

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浄楽寺は、鎌倉幕府侍所別当和田義盛が文治五年(1189)に創建した寺である。その本尊として運慶が作ったのがこの阿弥陀三尊像であ
る。運慶はこれとあわせて、不動明王、毘沙門天の両像も作っている。これら三者は、願成就院でもやはりセットになっている。不動明王といい、毘沙門天といい、東国武士の好みを強く反映したものだ。

制作の経緯は、毘沙門天像の内部から出てきた木札に記されている。それには、文治五年に運慶が小仏師五人を率いて、和田義盛とその夫人小野氏のために作ったとある。和田義盛は、頼朝挙兵のときから従った腹心だ。

本尊は檜材の寄木造り。頭部は四材の矧木で首の根を体部に差し込んである。その体部も四材の矧木で、内部を刳面にして浚っている。両脇時は、頭部、体部とも左右矧木、頭部の根を体部に差し込んである。眼は、三尊とも彫眼である。なお、現存のものは全体に漆箔が施されているが、これは後世の補修の結果である。このため、像容が損なわれているとの指摘もある。

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これは本尊の拡大写真。ふっくらとしたなかにしまりのある表情は、願成就院の阿弥陀像に通じる。

(木像寄木造り 像高本尊140.0cm 脇侍各178.0cm)






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