無著・世親立像:運慶と鎌倉彫刻

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無著・世親は、五世紀頃のインドで活躍した兄弟僧である。法相の教学を確立したとされている。その兄弟僧の立像を、興福寺北円堂の中尊弥勒仏の住持として運慶以下が作成した。弥勒仏台座の銘によれば、世親は運慶第五子運賀の担当とされている。無著のほうは、第六子運助の担当だろうと推測されている。

どちらも、運慶の構想にもとづいて作られたと考えられる。運慶の特徴であるリアリズムと勇壮さとが共存したこの作品は、運慶様式の到達点を示すものと評価される。日本の肖像彫刻の最高傑作といってよい。

両像とも桂材を用いる。無著のほうは、頭部、体幹部を一材で造り、世親のほうは、体幹部を前後に矧木している。ともに玉眼を嵌め込んである。

写真は、上が無著、下が世親である。優劣をつけるのがむつかしいが、世親のほうがより緊迫したものを感じさせる。

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(木像彩色 像高無著194.7cm 世親191.6cm)






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