地蔵菩薩立像:快慶

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快慶は、建仁三年(1203)の東大寺僧供養の際に法橋となった。この地蔵菩薩立像は、「巧匠法橋快慶」の署名が右足部に刻まれており、快慶の法橋時代の作品で、唯一現存するものである。

白い雲に乗り、蓮華座の上に立ち、右手には錫杖を握り、左手に宝珠をささげもったその姿は、来迎の様子をあらわしたものとされる。地蔵といえば、地獄に落ちた人に救いの手を差し伸べるものとしてうけとられているが、これは救いの手を差し伸べるべく、迎えに来た様子を表現したものだろう。

体躯の釣り合いがよくとれていて、美しさと優雅さを感じさせる。また、衣や袈裟に施された文様は切りがねで、袈裟の紐は銅で作られている。

快慶の作風である安阿弥様の完成した形をこの像に見ることができる。快慶の最高傑作との評判も高い。

(木像寄木造り 像高90.6cm 東大寺公慶堂)






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