京都蓮華王院には、千手観音の眷属である二十八部衆の像が安置されている。二十八部衆には、梵天、帝釈天、阿修羅などおなじみのキャラクターのほか、婆藪仙、迦楼羅王像といった地味なものも含まれている。これらが、千躰千手観音とともに収まっている眺めは壮観である。
二十八体いづれも寄木造りで、玉眼をはめこんである。上の写真は婆藪仙。ヨガの修行を積み、ヴェーダ聖典を感得したという伝説上の聖者である。痩せた体に粗末な衣を着、長い髪をたらしていたとされる。この像はそうした伝説上のイメージを再現したものだろう。
こちらは迦楼羅王。インド神話に由来する仏教の守護神。鳥頭人身の姿でイメージされる。この像はそのイメージを表現したものである。不動明王と同じく炎を背負い、横笛を吹いている。
作者は特定されていないが、蓮華王院は運慶を始め慶派が総力をあげて取り組んだプロジェクトなので、これらの二像も慶派の仏師によるものと考えてよい。
(木造寄木造り彩色 像高婆藪仙155.1cm 迦楼羅王166.3cm 京都蓮華王院)
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