白鵬には口を挟む資格はない?

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横綱日馬富士の貴の岩に対する暴力問題をめぐって、相撲協会周辺では大変な騒ぎになっている。その騒ぎぶりを見ていると、わからないことだらけで、なんとも釈然としない気持ちになるが、中でももっとも釈然としなかったのは、昨日開催された横塚審議委員会なるものの主張だ。

委員会を代表して某氏が記者会見に語った内容は、日馬富士と白鵬とにかかわるものだった。日馬富士については、暴行をしたことは事実であると判断されるが、今は警察や協会危機管理委員会による調査中であることから、当委員会としてそれ以上の判断を差し控えたいということだった。これは汚職事件の追求を受けた行政当局がよく使う答弁だが、なぜこんな答弁をするのか、そこがまず釈然としない。暴行をしたのが事実なら、それをもとに委員会としての判断はできるはずだろう。委員会は調査・執行機関ではなく、倫理的な事項を検討する助言機関だというから、当該日馬富士の行為に対して倫理的な判断をすることは今の時点で十分できるはずだ。

白鵬については、二つ苦言を呈した。ひとつは、白鵬が優勝インタビューの際に万歳三唱をしたことについて、「これだけ相撲協会が厳しい状況にあって大変な中で、なんで万歳ができるんだろう。白鵬自身が事件の現場にいたわけです。しかも11日目に『物言い』の問題を起こしたわけです。そんな中で万歳しましょうという空気は、よくわからない」と語ったそうだ。相撲協会が厳しい状況にあることはたしかだが、だからといって万歳をするのはおかしいというのは飛躍した考えではないか。実際あの場に居合わせたほとんどすべての観客は白鵬の音頭に合わせて万歳していた。それは相撲に寄せる白鵬の思いに観客が共感したからではないか。だからこの万歳を貶めるというのは、横綱審議委員会として観客の万歳をも貶めるということにならないか。

もう一つは、このインタビューの中で白鵬が、相撲協会の膿を出すとか、日馬富士と貴の岩の二人を再び土俵にあげてあげたいと言ったことについて、膿を出すとは何事かとか、日馬富士たちの処遇を考えるのは白鵬の仕事ではないだろうというようなニュアンスが伝わってきた。要するに白鵬は余計なことを言ったりやったりしたことで、相撲協会の威信に傷をつけたと言いたいような口吻である。

しかし白鵬といえども、一人の人間であるし、人間として自分の意見を述べることは尊重してやらねばならない。それが成熟した民主主義社会のあり方だ。ところが横綱審議委員会の面々には、こうした民主主義的な理念が十分根付いていないらしい。第三者の委員会でさえこの調子なのであるから、相撲協会がどのような体質を引きずっているかは推してわかるところだ。要するに世の中の常識が通用しない世界なので、そういう世界はガラパゴス的な世界と言わねばならない。

相撲協会はいっそ公益法人の名称を返上して、ガラパゴス団体相撲協会とでも名乗ったほうがよいのではないか。そうすれば誰も、彼らのやることに目くじらは立てないと思う。





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