松図:宗達の襖絵

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養源院の客殿には、宗達の襖絵が二十面あったが、今日はそのうち十二面が残っている。松の間と呼ばれる座敷の、東西両面と南面とに、座敷をぐるりと囲むように配置された松の図柄が、力感をもって迫ってくる。

上は座敷内東面に配置された松図。うねるような松と、岩だけを組み合わせた単純な図柄だ。単純なだけに、迫力がストレートに伝わってくる。桃山期の障壁画は、松の枝が画面を飛び出るように描くのが主流だが、宗達のこの松は、全体をそっくり画面のなかに収めている。その分こじんまりとまとまり、いささか迫力に欠けるとの評価もある。

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これは中心部分の拡大図。岩の彩度を低くし、松の枝の彩度を高くすることで、前面に浮かび上がらせる効果を狙っている。岩肌がかなり丁寧に描かれているのに比して、葉の描き方はやや平板なようにも見える。(紙本金地着色 174×304㎝ 養源院 重文)

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これは、南面の一部の松図。岩を前面に、松を背後に描いているが、松と岩のバランスが良いとは言えず、構図的にやや不安定さを感じさせる。岩の彩度が低いことも、バランスが悪い原因である。(紙本金地着色 174×76㎝ 養源院 重文)






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