トランプの延命はFOXニュースの手柄

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先日FOXニュースのブライトバート化について言及したが、ブライトバート化することによってFOXニュースは、なりふりかまわずトランプを擁護しているとの印象が強まっているのは事実のようだ。そればかりではない、FOXニュースのおかげでトランプは、政治的な危機を幾分やわらげられてもいる。もしFOXニュースが大々的にトランプを擁護しなかったら、トランプは今頃倒れていただろう。そこが同じ大統領のスキャンダルでもニクソンとは違う事情が働いている。言葉を換えれば、もしニクソンの時代にFOXニュースのようなものがあったら、ニクソンは生き延びたかもしれない。

そう言うのは、ニクソンのスタッフだったジョン・ディーンだ。ディーンは、POLITICOとのインタビューの中で、トランプとニクソンのスキャンダルを比較している。ニクソンはアメリカの政治と法を熟知していたにかかわらず、アメリカの政治的伝統と法治主義の厳格さを見誤ったがために失脚した。それと同じようなことをトランプがやれば、早晩失脚は免れないだろう、というのがディーンの見方だ。しかもトランプは、ニクソンのようには、アメリカの政治的伝統と法治主義の厳格さをわかっていない。大統領の権限は、自分自身のスキャンダルを打ち消すことができるほど強大だと考えている。しかし、アメリカの政治制度や法の支配の伝統を侮ってはいけない。ニクソンが失脚したように、トランプが失脚する可能性は十分すぎるほどあるのだ。

アメリカの政治制度に対する無知ぶりは、トランプだけでなく、彼が選んだ閣僚たちにも共通しているようだ。たとえば司法長官のセッションズは、各州で合法化されているドラッグを、連邦政府が直接取り締まろうとしているが、これは明らかに州の権限を保障した連邦憲法に違反する。そのため司法省(Department of Justice)を無法省(Department of Injustice)だと揶揄する意見も多い。こうした傾向は司法省以外の省庁にも多かれ少なかれ見られ、トランプ政権の反立憲的な姿勢の象徴とされている。

つまり彼らは揃ってアメリカの政治的な価値を破壊する動きをしているわけで、そのなかでもトランプのスキャンダルは横綱級だという印象を市民の間にばらまいているわけだ。それでもなお、トランプがなかなか倒れないでもっているのは、FOXニュースの援護があるせいだ、とディーンは言う。なんだかんだ言っても、テレビメディアの影響力は、トランプの延命を実現するほど、まだまだ強いということらしい。言い換えれば、テレビメディアが、権力の延命の為に取り込まれたということだろう。





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