雲龍図屏風:宗達の水墨画

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「雲龍図屏風」は、「松島図屏風」とともに海外に流出した宗達の傑作。ワシントンのフリーア美術館が所蔵している。水墨画の名品だ。六曲一双の屏風絵で、左右の龍が互いに睨みあっている図柄だ。どちらも背景を黒く塗りつぶすことで、龍の輪郭を浮かび上がらせる工夫をしている。また、波の描き方に、宗達らしい特徴がある。

上の図柄は左隻のもの。龍が姿勢を反転させて、顔を右隻の龍に向けている。龍の下方では波が渦巻き、嵐のような動きを感じさせる。

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こちらは右隻の図柄。左の龍とは対照的な姿勢で、左隻の龍を睨んでいる。その表情にはどこかしらユーモアが感じられる。

波の描き方は、細い線を組み合わせる手法をとっているが、この手法は光琳や抱一にそのまま受け継がれていった。

全体として、墨の濃淡を生かした、ダイナミックさを感じさせる絵である。

(紙本墨画 各150.6×353.6㎝ フリーア美術館)






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