松島図屏風(右隻):宗達の世界

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六曲一双の「松島図屏風」も、ワシントンのフリーア美術館の所蔵である。国内にある「源氏物語関谷澪標図屏風」と並んで、宗達の金璧障屏画の代表作である。現存するものは六曲一双だが、もともとは六曲四隻だったという指摘もある。左の延長にさらに二隻があって、それらには伊勢物語東下りの場面が描かれていたという説であり、それが事実なら、この図柄は松島ではなく、伊勢の海ということになろう。だが、今では、現存のとおり六曲一双の絵として見、描かれているのは松島だという前提で鑑賞されている。

左右連続して一つの雄大な風景を描いている。両図は海と砂浜を通じてつながっており、そこを右手から、大きな岩と小さな岩、浜松と小島の砂州がリズムを作ってつながっており、見る者の視線を自然に誘導する形になっている。

上は、右隻の全体図。右端に大きな岩、その左手にやや小さめの岩とそれに付随する小岩が描かれている。どちらの岩にも松が生えており、松島の松を連想させる。右端の大きな岩のまわりには、波が水しぶきをあげているところが迫力を以て描かれているが、これは見る者の視線を、まずここに誘導するための工夫と思われる。

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これは右端の岩の部分を拡大したもの。波の描写が特徴的だ。金泥と墨を用いて丁寧に描かれている。その描き方というのが、二本の筆を用いて、平行線を並べてゆくというもので、この技法は、後に光琳はじめ琳派の画家たちによって引く継がれてゆく。

(六曲一双 紙本金地着色 152.0×355.7㎝ フリーア美術館)







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