舞楽図屏風:宗達の世界

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「舞楽図屏風」は、宗達が醍醐寺のために描いたものだ。醍醐寺は、秀吉の花見で有名だが、舞楽とも縁が深いらしい。宗達の「舞楽図屏風」は、そうした醍醐寺の歴史を踏まえていると思える。

二曲一双の屏風絵だが、左右が一体となって一つの世界を現出している。描かれているのは舞楽を舞う人々であり、右から採桑老、納曽利の二人、羅陵王と還城王そして崑崙八仙である。これらに加え、左手上に梅と桜の古木、右下に園遊のために施された幕がある。おそらく醍醐寺境内をイメージしているのだと思う。

宗達は、これらのイメージを、古図から取り出し、それを自分なりに配置して、この構図を編み出したのだろう。狩野派の舞楽図に比べると、シンプルな構図と動きのある画面構成が特徴だ。色彩も非常に豊かだ。下地の金に負けない迫力を感じさせる。

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これは、崑崙八仙の部分の拡大図。崑崙八仙は「ころばせ」と読み、崑崙山にいるという八人の仙人が舞うとされる。この絵は、八人ではなく、四人の仙人の舞う様子を描いている。

金箔を張り詰め、その上に岩絵の具で彩色しているところがよくわかる。

(二曲一双 紙本金地着色 各169×155cm 醍醐寺三宝院 重文)






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