安倍晋三は朝鮮半島非核化をどう認識しているか?

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北朝鮮をめぐる国際関係がドラスティックに変化していく中で、安倍政権は後手後手どころか、蚊帳の外に閉め出されているかのような状態だ。このままではみっともないと思ったのだろう、安倍晋三は大向こうに対して強がって見せ、このたび北朝鮮が軟化したのは、我々(つまり安倍晋三自身)が見せてきた圧力の方針に北朝鮮が屈服した結果だなどと、およそ説得力のない言訳をしている。

ことここに至っては、従来のやり方は通らないと思ったようで、今まで対話の為の対話は意味が無いと言って北朝鮮との対話を拒絶していたのを百八十度転換して、北朝鮮との対話に応じるという姿勢を示しはじめた。これも大方には、ご主人のアメリカが対話に舵を切り替えたので、従者である日本もそれに従わざるを得ないと安倍晋三が判断した結果だろうと受け取られている。

そこで安倍晋三が叫んでいるのは、トランプが言っていることのオウム返しのようなものだ。トランプは北朝鮮の完全な非核化を主張しているわけだが、安倍もそれにならって北朝鮮の完全非核化を声高に叫んでいる。

そこで問題になるのが、安倍が言う非核化とは何を意味しているか、ということだ。安倍の言説からは、どうも北朝鮮の一方的な非核化というように伝わってくる。しかし、北朝鮮が自分だけ一方的に非核化することに応じるとはどうも思えないし、六ケ国協議などにおけるこれまでの交渉の経緯からしても、その可能性は少ない。

これまでの交渉を前提にすれば、北朝鮮の非核化とは、朝鮮半島の非核化の不可分の要素としてなされるものであって、北と同時に南も非核化するという意味であった。それ故、これまでは北朝鮮の非核化ではなく、朝鮮半島の非核化という言葉が正式なものとして使われて来たのである。安倍晋三は、最近は北朝鮮の非核化という言葉ではなく、朝鮮半島の非核化という言葉を使うようになったようだが、その意味するところはあくまでも北朝鮮の一方的な非核化ということらしい。

もっとも国際情勢というのは日々変化するわけで、これまでの枠組がそのまま継続しなければならぬと言うわけでもない。北朝鮮がどのようなつもりなのか、今の時点では真意がよく見えないが、もしかしたら南の核はそのままにして、北だけ非核化することに応じるという可能性がないわけではない。しかしその可能性は非常に低いと考えた方がよい。少なくとも北の方から自主的に自分だけ非核化に応じる可能性は少ないと考えたほうが現実的だ。

朝鮮半島の非核化と並んで、在韓米軍の撤退も議論されているようだ、南北が完全に融和すれば、北を主要敵と想定した在韓米軍は存在の理由がなくなるというのがその論拠だ。だがこれについては、韓国の文在寅大統領が明確に否定した。在韓米軍は南北問題とは別の次元の問題なのだと言うのである。つまり南北の間に敵対関係がなくなっても、韓国には引き続き米軍に駐屯して貰いたい、というわけだ。南北関係に対立がなくなったあとでも在韓米軍が必要だというからには、韓国には北朝鮮以外に警戒すべき敵がいるということなのだろう。その敵とは誰か、と思わず前屈みになってしまうところだ。





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