
秦桐若は戦国時代の武将で、黒田官兵衛の家臣だった。無類の勇者として知られ、三十三人の首をとったと言われる。一丈の旗指し物に唐団扇が目印で、これを見た敵は近づくことをためらったとされる。
常山紀談や真書太平記などで、その武勇ぶりが語られている。有名なのは山崎の合戦での働きぶりで、この際には身に何カ所もの傷を受け、仲間に助けられて戦場を去ったとある。
この絵では、桐若のほうが傷ついた仲間を介抱する姿が描かれている。その図柄で芳年は、彰義隊の無残な敗退ぶりを象徴させているようである。
(明治元年<1868> 大判)
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