袴垂保輔鬼童丸術競図:月岡芳年の縦二枚継絵

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袴垂保輔は都を騒がせる大盗賊、鬼童丸は市原野に住む盗賊だ。この二人が妖術を競い合う場面を滝沢馬琴が読本「四天王剿盗異録」に書いた。芳年はその場面をイメージ化したものを縦二枚続きの錦絵にした。当時馬琴の読本は庶民に人気があったので、こういう図柄も喜ばれた。

上が袴垂保輔、下が鬼童丸。それぞれ得意の妖術を使って妖怪を導きだしている。鬼童丸が呪文を念じながら鳥を羽ばたかせれば、保輔はうわばみを出現させて鳥を脅かそうとする。

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これは保輔の部分を拡大したもの。保輔は精悍な顔つきをしているが、うわばみも保輔に劣らず精悍だ。これでは鳥たちもかなうまい。

(明治廿年<1887> 大判縦二枚続)







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