高尾観楓図屏風:狩野秀頼

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狩野秀頼は狩野元信の次男として生まれたが、当時絵仏師をつとめていた本郷家の養子になった。そんなこともあり、秀頼の画風は、狩野本流とはいささか違う趣を呈している。大和絵の影響を指摘できる。残された作品は少ないが、この高尾観楓図屏風はかれの代表作である。

もともと六曲一双の屏風絵だったが、一隻が失われて、残りの一隻しか伝わっていない。京都の高尾を舞台に、楓の紅葉狩りをしながらの遊興ぶりを描いたものだ。背景右手には高尾神護寺の伽藍が見え、左手上方には雪を頂いた愛宕の峰が望まれる。

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これは遊興する女性たちを描いた有名な図柄。女性たちは眉を落とし、鉄漿をつけている。また、細帯で着物を締めているが、これは室町末期の女性の風俗だった。遊興の場にかかわらず、黒衣の尼がいるのが面白い。また中国風の服装をした童子もいるが、これは愛嬌だろう。(六曲一隻 紙本着色 東京国立博物館 国宝)






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