唐獅子図:狩野永徳

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狩野永徳はすでに十代の頃から非凡な才能を発揮し、祖父元信から狩野家の跡取りと期待された。その祖父から十七歳まで絵の手ほどきを受け、十歳のときには祖父に伴われて足利将軍義輝に謁見している。

この唐獅子図は、永徳の代表作であり、安土桃山時代の美術を代表するものでもある。雌雄二頭の唐獅子が威風堂々として岩間をのし歩く構図は、この時代の勇壮な雰囲気を象徴する図柄である。やや粗放に過ぎるのではないかとの批判もあるが、画題の勇壮さがそうした粗放さをともなうのだと考えた方がよい。

天正十二年(1582)に、豊臣秀吉が毛利勢と和解した時に、記念の陣中屏風として贈られたという。そうだとすれば、永徳満三十九の時の作品ということになる。

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これは雄獅子の頭部を拡大してもの。渦巻くようなたてがみをなびかせながら、牙をむきだした表情がなんとも勇壮である。(六曲一隻 紙本金地着色 宮内庁御物)






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