ごくろうさん、イチロー

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イチローが28年間の現役生活にくぎりをつけて、引退の意思を表明した。とりあえず、ごくろうさんと言いたい。偉大な功績を残したことに対しての言葉としては月並みだが。これ以上に相応しい言葉があるとも思えない。とにかく、ご苦労様でした。一ファンとして心からそう思います。

イチローがデビューした年のことはよく覚えている。それはあの大鵬がデビューした時と同じで、とんでもない人があらわれたという驚愕を伴なっていた。その驚愕は年を追って強まり、七年連続の首位打者という前人未踏の偉業を達成した後、野手として初めて大リーグに挑戦し、目覚ましい成績を上げたことで、驚愕を超えて畏怖の念を抱かされたほどだった。

イチローの野球選手としての功績は多々あると思うが、何といっても日本のプロ野球のレベルを世界に証明したことだろう。それまで日本のプロ野球のレベルは、野茂のような投手については一定程度評価されていたが、野手に至っては、マイナーリーグと同じような扱いだった。長嶋はもとより王でさえも、せいぜい3A程度の選手と見なされていたのだ。そういう見方をイチローがつきやぶってくれた。これほど痛快なことはない。

日本のプロ野球を大リーグと結びつけた功績は野茂に割り当てられると思うが、やはり日本野球のレベルを世界に認めさせた功績はイチローに帰すだろう。イチローの活躍に励まされて、大勢の日本人選手が海を渡って行った。もっともその副作用のような形で、日本野球の逸材はおしなべて大リーグをめざすようになり、その結果日本野球はアメリカ大リーグにとって、マイナーリーグ並みの人材養成機関に化してしまったきらいはあるが。

聞くところによると、イチローは引退後も大リーグにとどまり、何らかの形で活動を続けるそうだ。いまのところマリナーズに残って後輩の指導にあたるということらしい。そのまま大リーグに残るのはイチローの選択で、我々日本の人間がとやかく言う筋ではないが、できれば日本に帰って来て、日本野球の底上げのために貢献してもらったらと思ったりもする。勝手な思いかもしれないが。

とにかく、28年間ご苦労さまでした。




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