山水図襖:長谷川等伯

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大徳寺塔頭三玄院に、かつて雲母刷りで桐花紋を施した襖三十二面に山水図を描いたものがあった。現在は圓徳院にうつされている。上の写真はその一部。冬枯れらしき山水の佇まいが描かれている。

三玄院が創建された頃に、等伯は開祖の円鑑国師に襖絵の揮毫を申し出て断られた。それでもあきらめずに、国師が不在の折に一気に山水図を描き上げたという逸話がある。等伯にはかなり強引なところがあったのである。この逸話からして、等伯五十歳前後の作品と推測される。

描き方に古風なところがある。雪舟など室町時代の水墨画の影響であろう。雪の白さが、雲母に反射して、きらきらと光って見える。図柄は単純なのだが、このきらきらとした効果があるために、画面に華やかさが生じている。(紙本墨画 各177.5×94.3cm 圓徳院 重文)






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