
雲竜図屏風は京都の東寺観智院に伝来していたもので、灌頂の儀式に用いられていたという。水の儀式でもある灌頂の儀式には、水の王者である龍ほどふさわしいものはないということであろう。
龍は無論空想上の生き物であるが、それを応挙は実際に生けるものの如く写実的に描いている。それがこの絵のミソだ。この龍の図柄を応挙は、中国の牧谿や陳容から学んだという。左右両隻とも、雲の合間を疾駆する龍の動きが躍動感を以て表現されている。
上は、左隻の龍。右隻の龍とは、ちょうど向かい合うような図柄になっている。

これは右隻の龍。鱗に施された金泥が非常に効果的に見える。そのほか、垂らしこみ、にじみ、ぼかしなどの技法が効果的に使われている。
(安永二年<1773年> 紙本淡彩 六曲一双 各176.0×365.0㎝ 国宝)
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