自粛警察の実体は本物の警察だった

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コロナ騒ぎの中で一番流行った言葉は「自粛警察」だろう。小生はこの言葉で、普通の人間が正義を振りかざして隣人を取り締まろうとする動きをイメージしていた。ところが実際はそんなに生易しいものではないようだ。昨夜NHKが新宿歌舞伎町における飲食業の実情を特集していたが、それを見ていて、かれら歌舞伎町の飲食業者たちが怖れているのは、取り締まりにあたる当局と、それと一体となった警察だということが伝わって来た。つまり本物の警察がかれらを脅かしているというわけである。

じっさい番組の中では、新宿区役所の役人たちと新宿警察署の警察官たちとが、一体となって行進し、人々に威圧感を与えていた。それを見ている飲食業者たちは、このコロナというのは、病気の恐ろしさはもとより、それ以上に病気のもたらす社会現象のほうが恐ろしいと言っていた。その社会現象をかれらは自粛警察という言葉で表しているわけだが、それは権力者たちによる「夜の街」はけしからぬというキメツケであり、営業を自粛しろという警察の威圧的な介入だということらしい。

自粛を要請すること自体は、ある程度は致し方のないことだとは思うが、やり方によっては、無用の軋轢や差別を助長する。じっさい歌舞伎町の飲食店業者たちは、「夜の街」という言葉で被差別感を抱き、行政や警察による介入に強いストレスを感じているようだ。とくに某老女知事が、威圧的な態度で「夜の街」を攻撃しているところを見ると、歌舞伎町の飲食事業者たちが恐怖感を覚えるのも無理はないと思われる。

番組では、警察官が行進しながら営業自粛を訴えていたが、こういう光景は、一昔前には、「民事介入」と認識されていたものだ。それがいまは、市民生活を保護するという目的をかかげて、警察が積極的になっているのは時代の変化を物語るものか。

先日は、コロナにかかって入院を拒否した者に刑罰を科すという内容の法案が出され、大騒ぎになったものだが、それも市民生活への権力の過度な介入を示唆するものだろう。安倍政権以後、権力が威圧的な姿勢を強めているが、それは菅政権にかわって、より強まったようである。菅政権は警察官僚が仕切っているといわれている。そうだとしたら、警察目線の政権運営が得意ということだろう。





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