ミャンマーはシリア化するか?

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ミャンマーの情勢が混沌としてきた。国軍によるクーデタに反発した市民に対して、国軍が厳しい弾圧を以て臨み、大勢の死者と逮捕者を出している。国軍が市民側に譲歩するか、市民側が国軍に屈服するか、そのどちらかが起らないかぎり、事態は収まりそうにない。今のところ国軍が譲歩する見込みはまったくないようだし、市民も屈服することはないようなので、事態はますます泥沼化する恐れがある。この調子だと、シリアのような内戦に発展するだろうと予想する向きもある。

国軍が強圧的な姿勢を改めないのにはわけがある。国軍は憲法を超越した組織であって、国家を指導する立場にあると自らを定義している。したがって国軍に逆らう者は、国家の敵以上の不逞のやからなのだ。そういう連中は保護に値しない。殺して当然だ、という認識をもっている。だから、国軍が市民に譲歩する可能性は非常に低いわけだ。

一方、市民のほうでは、10年あまりの民政を経験して、自由のすばらしさを体で知ってしまった。いまさらその自由を手放せない。だから、国軍には徹底的に抵抗するだろう。今のところ市民の抵抗は、せいぜいパチンコや火炎瓶程度の武器で行われているが、スーチーの与党NLDが、市民の武装を容認したこともあって、今後重武装した市民と国軍とが衝突する事態も考えられないではない。そうなれば、ミャンマーにもシリアのような内戦状態が生まれる恐れがある。

国軍としては、いままでの経験からして、スーチー一派を排除すれば、簡単に権力を握ることができるだろうと甘く見ていたフシがある。それが思いもかけず強い抵抗に直面して、聊か手こずっているというのが実情だろう。抵抗が強まるようなら、国軍側の弾圧も苛烈さを増すと思われる。市民との間の衝突がますますエスカレートすれば、全面的な内戦に発展する可能性が強い。

スーチー政権は、ロヒンギャ問題に関しては、人権を軽視する態度をとってきた。だから、自分たちの人権を守って欲しいとは言いにくい立場にある。他人に不正を働けば、その報いが自分に跳ね返って来るということだろう。いずれにしても、ミャンマーでの暴力沙汰や内戦はやめさせなければならぬ。





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