LOFTロフト:黒沢清

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黒沢清の2005年の映画「LOFTロフト」は、黒沢得意のホラー映画である。この作品のホラーの源泉はミイラなのだが、それがすこしも怖くない。怖がっているのは主人公の女性作家だけで、あとはみな怖がっていないし、観客もまた怖がるまでには至らない。ホラー映画としては失敗作なのではないか。

スランプに陥っている女性作家が、気晴らしを求めて、高原らしいところにある家に滞在する。近所にはどこかの大学の研修所があって、そこに一人の研究者が滞在していた。この研究者はミイラの研究をしており、最近付近の湖の中から1000年前に生きていた女性のミイラを引き揚げたというので評判になっている。

映画は、そのミイラがホラーを呼ぶように見せかけながら始まるのだが、そのうちホラーの源泉は現代人の女だということがわかる。その女は、誰かに殺された恨みから、頻繁に化けて出てくる。そこで果たして誰が殺したのかということが問題になる。

研究者は自分が殺したかもしれないと妄想を抱いている。一方、女性作家のプロモーターが殺したようにも思わせられる。いったいどちらなのか。こういう設定は、本来はサスペンス映画のもので、ホラー映画のものではない。そこをホラー仕立てにしたところが、この映画の中途半端なところかもしれない。






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