河内山宗俊:山中貞雄

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1936年の映画「河内山宗俊」は、山中貞雄の現存するフィルム三本のうちの一本である。他の二本同様時代劇である。河内山宗俊とは、化政時代に実在した茶坊主で、坊主稼業の傍らゆすりたかりを働いたとされる。この男を題材にして、河竹黙阿弥が芝居を作り大当たりした。山中はその芝居を映画化したわけである。

河内山宗俊が、甘酒屋を営む娘お浪に好意を寄せたところ、そのお浪が苦境に陥る。弟の広太郎が芸者をかどわかしたかどで、ヤクザ者から三百両の借金を背負わされてしまったのだ。その苦境に同情した河内山宗俊は、たまたま仲良くなった浪人と力を合わせ、お浪を苦境から救い出す、というような内容である。

見所は、河内山宗俊が大名にゆすりたかりの大芝居を働くところと、ヤクザ者を相手に大立ちまわりを演じるところ。時代劇の醍醐味が味わえるように作られている。

もう一つの見所は、お浪を演じた原節子だ。この時彼女はまだ16歳だったが、すでに成人した弟の広太郎を相手に、姉さん役を心憎く演じていた。彼女がナチスに招待されてドイツにいったのもこの年のことだ。





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