江戸呉服橋図:竹久夢二の美人画

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夢二は1909年にたまきと離婚したあとも、たびたび同居をくりかえした挙句、1914年にはたまきのために日本橋呉服橋に一軒の店を出してやった。港屋といって、小間物を売る店であったが、それらの小間物には夢二のデザインが施されていたので、さながら夢二のブランドショップの観を呈した。

この店はたいへん評判となり、多くの客を引き付けた。とくに近所にあった女子美術学校の生徒たちに人気があった。その生徒の一人に、のちに夢二の恋人となる笠井彦乃がいた。

ともあれ夢二はこの店のために多くの商品のデザインを行った。浴衣や帯などを始め、日常品の小物に至るまで、商品の種類は多彩だったといわれる。もっともこの店は、笠井彦乃の出現もあったりして、夢二とたまきの関係が悪化したために、わずか二年で閉店した。

「江戸呉服橋図」と題する上の絵は、港屋の開店記念として制作されたもの。二人の女性がいるのが呉服橋、そこから日本橋の街並みを見下ろす構図。港屋の文字を染めた帆船が日本橋川をさかのぼってくる様子が描かれている。

(1914年 絹本着色 116.0×116.0㎝ 竹久夢二伊香保記念館)





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