加茂川:竹久夢二の美人画

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夢二はたまきのために日本橋に港屋を開店したその年に、たまきをともなって、関西方面に旅行した。「加茂川」と題するこの絵は、その折に描かれたものと思われる。夢二は、明治42年にたまきと富士登山をした折、京都出身の堀内清と懇意になり、以後たびたび堀内をたよって京都に旅行している。この年の関西旅行は、岡山で開かれた画展に立ち会うのが目的だったが、そのついでに関西方面を歩き回ったのだった。

舞妓と思われる若い女が、座敷から加茂川を眺めている構図。後ろ姿の女は、大きな帯を結っているが、それには夢二オリジナルの文様が施されている。女はまた、髪の後ろにかわいい髷を結っているが、これはおそらくたまきのものだろう。

女は、やや身をくねらせて、後ろ向きながら背後の視線に向かって媚をうっているかの如くである。その女の視線の先には木橋が見える。女がいるところが祇園として、そこから見える木橋は三条橋であろうか。

(1914年 絹本着色 110.2×42.1㎝ 岡山市、夢二郷土美術館)






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