木に寄る女:竹久夢二の美人画

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「木に寄る女」と題したこの絵は、木と一体化した女を描いている。女はミカンの木に寄りかかっているのだが、その木の幹が女によって覆い隠されているために、あたかも女が木の幹となり、その女の頭上から枝がのびて、ミカンの実がなっているように見える。

この絵のポイントは、「加茂川」と同じく、着物に施されたデザインである。これも夢二が実際に手掛けたデザインをそのまま取り入れたという。女は非常に細身に描かれているが、おそらくたまきがモデルだろう。写真でみるかぎり、たまきは細身だったらしい。

なお、木の幹を隠すようにして寄りかかるというポーズは、ほぼ同時期に描かれた「リンゴ」にも見られる。ミカンがリンゴにかわっただけで、ほとんど同じ趣旨の構図である(多少は違うが)。

(1914年頃 絹本着色 123・0×36・0㎝ 静岡市、静岡アートギャラリー)






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