棄権は自民党への消極的支持か?

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先日の都議選結果に関連して、大量の棄権が出たのは有権者が今の政治状況に不信感を抱いている表れで、自民党は必ずしも勝利を喜んでばかりもいられない、という趣旨のことを筆者は述べたところだが、この結果について筆者とは異なる解釈をする人もある。例えば、冷泉彰彦氏などは、棄権は自民党への消極的な支持だととらえている。(参院選の「基本的な構図」とは何か?:WEB版ニューズウィーク)
冷泉氏によれば、自民党には「ホンネとタテマエを抱え込む度量」があり、そこが野党と違うところで、無党派層からも消極的な支持を集めている。それが結果として、都議選における大勝をもたらした。参議院選挙も同じような結果になるだろうと、予測しているのである。

橋本治氏も、朝日新聞に寄せた論評の中で、安倍政権は選挙の絶対得票率の点では支持が高いとは言えないが、世論調査の上では、半数を超える高い支持を集めていると言って、そこに不思議さを感じている。安倍人気の源泉は、景気対策への期待感に尽きるというのが氏の分析だが、それにしても、安倍自民党は、なんだかんだといっても国民から高い支持を集めている事には違いない、という具合に見ているわけだ。(批判の声はどこにいったか:朝日新聞6月29日朝刊)

この両者の分析を総合すると、自民党はやはり、高い支持を得ているという結論になりそうだ。そしてその原因は、橋本氏のいうように、景気対策が目下機能していると見られていることにあるのだろう。

しかし、よくよく考えれば、必ずしもそういえないところもあるのではないか。たとえば、政権の選択軸として、強力な野党が存在していれば、自民党がこれほど楽に勝利できるかどうか。やはり、問題の根源は、今の日本に自民党に対抗できる強力な野党がないために、国民は、自民党に投票するか、それとも棄権するか、という不健全な選択肢しか持ち合わせてない、ということなのだろう。

その意味で、民主党の罪は大きい。民主党は今のままでは、当分国民の信頼を回復することはできないだろう。思い切って再編成するなど、党の体勢を根本から見直さなければ、政治的選択肢として機能することは当分ないだろう。

関連サイト:日本の政治 






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