とりあえずオバマの勝利?:アメリカのチキンレース

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政府閉鎖と債務上限問題を巡って展開されていたオバマ大統領とGOP(共和党)とのチキンレースは、今の所オバマの勝利といえそうだ。今の所と言うのは、今回で対立の根が除かれたわけではなく、当分のあいだ引き伸ばされたというだけであり、来年の一月には再び政府閉鎖の危機が、また二月には債務上限問題の蒸し返しが起こる可能性が強いからだ。

今回は、先にギブアップしたほうが負けになると言われていて、それは国民の怒りがどちらに向けられるかによって決まると憶測されていたが、結局国民の怒りを買ったのはGOPの方だったわけだ。直前の世論調査では、国民の議会に対する支持率は一桁台に落ち込み、世の中でもっとも嫌いなもののトップに躍り出ていたほどだったが、その嫌いになった原因というのが、GOPとりわけティー・パーティと呼ばれる党内の頑迷な保守派であった。

これをきっかけに、ティー・パーティの影響力は衰え、GOPももうすこし穏健になるのではないかと期待する向きもあるが、そんなに簡単なものではないらしい。今回の騒ぎの張本人だったテッド・クルーズは地元テキサスでは英雄扱いだし、ティー・パーティのメンバーの多くは、自分たちが敗北したのは共和党全体が反オバマで団結しなかったからだと言っている。そんな具合なので、機会があればもう一度、チキンレースに意欲を見せる可能性は十分にあるというわけである。

そうはいっても、ティー・パーティの勢力は40人台に過ぎない。この40人が200名以上の議員をかかえるGOPをかき回しているわけだ。そこで、共和党の穏健派がティー・パーティに振り回されることなく、民主党と大団結をして彼らを封じ込めるべきだとするクルーグマンの意見なども出て来た。

ティー・パーティの主張は時代がかっている。いまどき政府の役割を最小限に縮小し、国防と外交以外の政府活動は大部分廃止すべきだなどというのは現実的ではない。彼らがそういうのは、貧乏人(有色人種や移民たちのことだ)のために余計な金を使いたくないという理由からだが、彼らにしたって国家に多くの恩恵を被っているはずだ。一方ではその恩恵を享受して精一杯金儲けをしておきながら、儲けた金を一切政府のためには使わせないというのは、どうみても我利我利亡者の言い分だ。







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